ここで、この時代の背景を話しておく必要がある。

江戸時代末期、松代藩を治めていたのは藩主真田幸民であった。真田は戦国以来の名門であり、真田幸村父子らの・・・戦国時代から江戸時代初期における活躍と悲劇については、今も様々な資料や小説で見ることができる。

松代は江戸から北陸へと伸びる要道、中山道ににらみをきかせることのできる要衝で、その戦略的な価値は多くの歴史家が認めるところである。この地には、江戸時代初期から、当然のごとく名だたる大名が配されてきた。

戦国時代には、武田信玄と上杉謙信が何度もこの中山道をめぐって激突し、さらに、後方には伊達政宗がここに戦略的な思いをめぐらせていた。