それから、佐助は諏訪の実権を握るまでの経過や腹心、さらに贋金作りを行っていた拠点や人物などをつまびやかに説明した。
そして、この冬にこのまま新田開発を行った場合に死亡するであろう人数までもを調べ上げ、結果を報告した。

「なるほど・・・このままいけば、松代の主たる男は約半数になるか・・・」
「はい。この冬が冷えこめば、さらに増大するでしょう。」
「なるほど。諏訪を斬れば、それは止められるのか?」
「いえ、すでに六人に1人の男は死んでおります。さらに農地は荒れ放題で、今年の凶作は確実。…もはや諏訪を斬ろうと、焼け石に水かと…」
「されど・・・未来への希望は失われない。」
「はっ。恐らく、新田開発による死をまぬがれる男が多数できますゆえ・・・この冬を越えられれば、あるいは・・・」
「わかった。ごくろうであった。」
「はい。それでは引き続き・・・」
「頼む。」
すると佐助は一瞬にうちに姿を消した。