先輩の腕の中で、あたしは思い出していた。

ダイスケと一緒に過ごした、10年あまりの月日を。


そこには、数えきれない思い出があって。

語りつくせない想いがあって。



「あたしね、ずっと夢見てたんです。

いつか、幼なじみから恋人になれる日を。

誰よりも沢山の思い出を共有してきたあたし達は、この先もずっと、一緒にいられるんだと思ってた」



「ずっと一緒には、いられるだろ?」



「え?」



「ダイスケにとってセーラちゃんは、これからも大切な幼なじみであることには変わりないんだから。

これからだって、ずっと一緒の時間を刻めるさ。

恋人になれなくても、大切な存在としてそばにいられる。

恋愛関係はいつ終わるか分からない不安定な関係だけど、幼なじみとか友達っていうのは、切れることのない永遠の絆ってカンジがして、俺はいいと思うけどな」



あたしは、カイト先輩の腕の中から少し体をずらして、星空を見上げた。