「カイト先輩は、物理得意なんですか?」 「天文学を学ぶには、物理の知識は必須だからね」 「そっかー」 あぁ、そもそも先輩は、東大生だもんね。 頭いいんだよね。 「ほら、セーラちゃんも頑張って。 だから、この問題はね……」 テーブル越しに身を乗り出して説明を始めたカイト先輩の前髪が、あたしの前髪にハラリと触れた。 ドキッ。 あたしの心臓が大きく波打つ。 あたしは、なぜだか急に緊張して、意識のすべてが前髪に集中してしまった。