カイト先輩がしぼり出すように言ったその言葉を聞いて、あたしはふいに気づいたのだった。
浮気を心配するのも、会えなくて寂しいのも……
それはあたしだけでなく、先輩も同じなのだと。
分かりきっていることに、今さら気づく自分にあきれてしまう。
あたしが先輩の背中に、そっと腕を回したとき。
あたし達の横を、薄紫色の何かが通り過ぎるのが目の端に映った。
先輩の腕の中から少し顔をずらしてそっちに目をやると、花束を抱えた広瀬さんが通り過ぎたところで。
あたしの視線を感じたのかどうか……
広瀬さんは背を向けたまま、片手をあげて後ろ手に振ってきた。


