「あのストラップじゃなかったら、俺、飛行機を降りてまでケータイを探そうと思わなかったかもしれない。

だから、あの便に乗っていた人達は本当に気の毒だと思うけど……

俺が命拾いをしたのは、セーラのストラップのおかげなんだ。

失くしてごめんな。でも、ありがとう」



カイト先輩は、そんな風に言ってくれた。



そうして、ケータイを失くした先輩は、便を変更したことを連絡せず。

そのために、日本ではあたしが大パニックに陥っていて。



「本当に、寿命が10年縮まったんですからね」



再びそう言ってスネたふりをしたあたしに、カイト先輩は……



「じゃあ、俺の寿命を10年分けてやろう」



そう言って、あたしにキスをした。