――あれから2年。

あたしは大学生になった。


五味先生のところには、この春、赤ちゃんが生まれた。

お祝いを持って遊びに行ったら、赤ちゃんの名前が「星来」だというから驚いた。

サヤカさんの希望でそう名づけたのだという。



「とっても可愛い名前だし。それに、セーラちゃんはあたし達のキューピッドだしね」



サヤカさんは、そんな風に言ってくれた。




「キューピッドなら、カヨの功績の方が大きかったんですよ。

カヨって名前をつけてあげれば良かったのに」



帰りに駅まで送ってくれた五味先生に冗談交じりに言ったら

「さすがに、昔、少し好きになった女の名前はつけられないだろ」

そんな風に言っていて。


そうか、やっぱりあの時、五味先生の気持ちはカヨに向いていたのかと、少し甘酸っぱい気持ちになった。