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カイト先輩がアメリカへ旅立ったのは、その年の夏の終わりだった。

それまで、あたし達は精一杯たくさんの想い出を作って……


旅立つ前日、先輩はあたしを、あの展望台に連れて行ってくれた。

思えばあたしのカイト先輩への想いは、あの日から始まったような気がする。

ダイスケに失恋した、あの日に。



二人きりの展望台で、先輩はあたしに、小さな箱を手渡してくれた。

開けてみると、それは……



「安物だけど」



照れた顔でカイト先輩が渡してくれたそれは……




ダイヤの指輪だった。


先輩はそれをあたしの左手の薬指にはめてくれて。



「いつか、結婚しよう」


そんな、世界で一番嬉しい言葉をくれたのだった。



夜空にきらめく星達が、あたし達を見守ってくれているように思えた。