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「ごめんなさい。かばんの中、勝手に見て……」
「いや」
車内に入ったカイト先輩は、突然の雨に濡れた髪をハンカチで拭きながら、あたしの目を見ずにそう答えた。
「……」
「……」
沈黙があたし達を包む。
雨は激しさを増すばかりだった。
「あたし、知ってたんです」
その沈黙は、あたしが破った。
「知ってたんです、留学のこと」
春休みに五味先生から聞いてしまったのだと告げると、カイト先輩は「そうだったんだ」とため息をついた。
「どうして言ってくれなかったんですか?
あたしみたいな子どもじゃ、留学なんていう話の相談相手にはならないってことですか?
『行っちゃ嫌』って、ダダをこねると思ったんですか?」
今まで言いたくて、言えなかったことが、堰(せき)を切ったように溢れてきた。
言葉も、涙も、止められない。
「どうして何も、言ってくれなかったんですか……」
「ごめんなさい。かばんの中、勝手に見て……」
「いや」
車内に入ったカイト先輩は、突然の雨に濡れた髪をハンカチで拭きながら、あたしの目を見ずにそう答えた。
「……」
「……」
沈黙があたし達を包む。
雨は激しさを増すばかりだった。
「あたし、知ってたんです」
その沈黙は、あたしが破った。
「知ってたんです、留学のこと」
春休みに五味先生から聞いてしまったのだと告げると、カイト先輩は「そうだったんだ」とため息をついた。
「どうして言ってくれなかったんですか?
あたしみたいな子どもじゃ、留学なんていう話の相談相手にはならないってことですか?
『行っちゃ嫌』って、ダダをこねると思ったんですか?」
今まで言いたくて、言えなかったことが、堰(せき)を切ったように溢れてきた。
言葉も、涙も、止められない。
「どうして何も、言ってくれなかったんですか……」


