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その日、あたし・速水星来(ハヤミ・セイラ)は、駅前広場に来ていた。

春休み最終日、友達と遊ぶ約束をしていたのだ。



「ちょっと早く着いちゃったな」



腕時計に目を落とすと、待ち合わせ時間まではまだあと15分もある。


ベンチに座ろうかと辺りを見回していると、黄色いTシャツ姿のお兄さんが


「どうぞ」


と、あたしに何かを差し出してきた。



「え?」