「本当に、女の子は可愛らしくていい。

そうだ、こうして出会えた記念に、あなたの手にしているその絵本、私にプレゼントさせてもらえませんか?」



オジサンの突然の申し出に



「え? いえ、そんな。結構です」



カヨはひるんだものの……



「そう言わないで。

娘にプレゼントを買ってあげるのが長年の夢だったんですよ。

私の夢を叶えて下さい」



オジサン、というよりオジサマと呼びたくなる紳士的な笑顔を前に……



――このオジサン、娘にプレゼントをあげるのが長年の夢だったのか。

じゃあ、あたしが買ってもらうことで、オジサンの夢を叶えてあげられるということ? 

ならこの場合、買ってもらうのは人助けなのかな――


そんな風に思ったという。