「まぁ、近くにいすぎて気づいてもらえないってのも、よくある話だからね……っと、ゴメン、あたし塾があるから、そろそろ帰らなきゃ」 カヨはチラリと時計に目をやると、慌ててカバンに手をかけた。 「あ、うん。じゃあ、駅まで一緒に行こっか。 それにしても、高校入学直後から塾通いって、すごいね」 「だってうちの高校、進学校じゃない? あたし、たぶんギリギリで受かったからさ。 勉強しないと、ついていけないもん」 ギリギリで受かったのは、あたしも一緒なんだけどね。