カヨがストローをまわすたび、グラスの中の氷がカラカラと音を立てる。

カヨはふっと手を止めて、話を続けた。



「セーラはダイスケくんに片想いしてたでしょ。

それで、ダイスケくんと同じ高校に行きたくて必死に勉強して、うちの高校に合格した。

そのおかげで、あたし達は知り合えて。

セーラは、ダイスケくんの後を追って天文部に入ったおかげで、カイト先輩とも知り合ったのよね。

つまり、セーラがダイスケくんに片想いをしてなかったら、あたしもカイト先輩も、セーラと知り合うことすらなかった」



「……そうね」



「ダイスケくんがユキコ先輩と付き合って、セーラは失恋して。

そりゃ悲しかっただろうけど……

でも、それをキッカケにセーラとカイト先輩の距離はより近づいたわけじゃない?」



「うん」



「片想いも、失恋も、何一つ無駄なことなんてないよね。

全部、未来につながってる」



ほんとだね。

あたしも、そう思う。

きっと、人生に無駄なことなんて、ひとつもない。



「あたしもね……」



カヨが、窓の外に目を向けた。