「ところで……大丈夫だった?」



イスに座りながら、カイト先輩が気まずそうに尋ねてきた。



「なにがですか?」



「お母さんに、バレてたろ? 二人で旅行に行こうとしてたこと」



「ああ……はい」



「ごめんな」と言いながら、カイト先輩は髪をクシャっとかいた。



「カヨちゃんと行くって嘘をついて出てきたってセーラが言ってたのは覚えてたんだ。

だから、それに合わせて嘘をつくべきかとも思ったんだけど……

飛行機の機内から病院まで、俺が一緒にいたし。

病院の人たちも、それ知ってるし。

嘘をついても、きっとバレるだろうと思って。

あとからバレるくらいなら、最初から正直に謝ろうと思ったんだ」



「ママに、なんて言ってくれたんですか?」