「ところでセーラは、今日は親には何て言って出てきたんだ?」 コーヒーを飲みながら、ふいに先輩が、そんなことを尋ねてきた。 「……カヨと一緒に旅行って」 「嘘つきだな」 「正直に言ったら、心配するに決まってるもん」 「まぁ、そうだよな。こんなオオカミが一緒だったら、反対するよな」 「……オオカミなんですか?」 先輩の意外な発言に、ちょっとドキっとする。 先輩は、そんなあたしの一瞬の動揺も見透かすかのように、ふっと笑って。 それからおどけて、「ガォ」と言いながら、あたしの頬をひっぱった。