それは、ダイスケだった。


あの夜のことが気まずくて……

あたしとダイスケは、あれ以来、なんとなくお互いを避けていたのだ。

教室でも、部活でも。



「ちょっと、話、いい?」



そのダイスケが、こうしてあたしに声をかけてきたことに、あたしは少し動揺する。


ダイスケの言葉に先に反応したのは、カヨの方だった。



「セーラ、あたし、図書室に用があるんだった。

ちょっと図書室に行ってるから、あとで来てね」



カヨはそう言うと、「じゃあね」とダイスケに目配せをして、教室を出て行った。