「その後、カイト先輩が大学の天文学科で勉強してる内容とか聞いたよ。

なんかね、量子化学とか解析力学とか、なんだか難しそうなことを習ってるみたいで……」



「ちがーう!

先輩の大学の授業のことなんてどうだっていいんだってば。

告白は? したの!?」



「あ……それは……できなかった……」



「どうしてよ! 七夕の夜に二人きりで天の川を見上げてる……これ以上、告白に適したシチュエーションなんてある?」



「そうなんだけど……」



なにしろ、場所は清里だったのだ。



「もし、あの場で告白して、うまく行かなかった場合、帰りの3時間ドライブが気まずいと思わない?」



「う……まぁ、それは確かにそうかも」



「でしょ。だから、帰りの車の中で、家に近づいた頃に言おうと思ってたの」



「うん、それで?」



「それが……」