あたしは少しだけ足を速めて、先輩の後ろから、先輩の真横に移動する。

それから、思いきって、先輩の腕にそっと手をかけようとした……その瞬間。



「座ろうか」



先輩が唐突にそう言ったから。



「あ、は、は、はいっ。そうですねっ」



「なに慌ててんの?」



「いえ、別に」



高原の夜は涼しかったけど、あたしの額には、キラリと汗が光った。