「セーラ! どうした?」



しゃがみ込むあたしの肩をたたいたのは、カイト先輩だった。

あたしはグチャグチャになった顔を見られないように、慌てて顔を伏せ、腕で隠す。



「なんかあったのか?」



「……」



あったけど、この状況の説明を求められても困る。



「今、車で走ってたら、セーラらしき子がうずくまってるのが見えたから。

そこに路駐したんだ。

とにかく車に乗って」



あたしは無言でブンブンと首をふる。



「なんで?」



「……」