「ところでさぁ」



ふいにダイスケが、さっきまでの暗い声から一転して、明るい声で話しはじめた。

わざと明るい声を出しているのだということが、あたしには分かるけど。



「なに?」



でも、そんなダイスケに合わせ、あたしも明るい声で返した。

しかし……



「俺、セーラと付き合えば良かったな」



「は!?」



ダイスケがあまりにも唐突にそんなことを言い出したから、あたしの表情は固まる。



「な……いきなり、なに言ってるの?」



「幼なじみとの恋っていうのも、悪くなかったんじゃないかなと思って。

お互いの過去を全部知ってる分、過去にまつわるワケの分からない事態は起こらないしさ」



「……」