「相手がカイト先輩じゃ……俺、勝てないよな」



空を見上げたまま、ダイスケがポツリとつぶやいた。



「え?」



「だって、相手は大学生だぜ? 15のガキが、勝てるわけねーだろ」



「でも……ユキコ先輩はダイスケを選んだんだよ?」



「もう一度、カイト先輩を選び直したのかもしれない」



「……」



「……今日は、満月だな」



ダイスケの横顔が、月明かりに照らされていた。