……それにね。あたしのこと振ったその先生、カイト先輩と同じ、ハタチの東大生なんだ。

あたしは『子どもだ』なんて言われてアッサリ振られたのに、セーラはカイト先輩に大事にされてて。

なのにセーラは、先輩のこと好きなくせに、それを認めようとしないから。

セーラに対して、どこか、ひがんだり、妬んだりする気持ちがあったのかもしれない。

それでちょっと……

気づかせるために、意地悪しちゃった。

……ごめん」



カヨはバツが悪そうな顔をして、少しうつむいた。



「でも、カヨ。あたしはそのおかげで、自分の気持ちに気づけたんだもん。

だから……やっぱり、ありがとうだよ」



あたしの言葉にカヨは顔を上げ、首をふった。



「そんな……あたしこそ、ありがとう。

『同じ人を好きになったからって、カヨのことを失いたくない』って言ってくれて……嬉しかった」



そう言って、カヨは少し気恥ずかしそうに笑って。

それから、こんなこと続けた。