父の名前の下にあるのは、オカジマの知る限り、岡嶋工業の社員の名ではなかった。


「おやじ、工場をでて一体何してたんだよ」

二階にいるシズカを思い、オカジマの胸は不安と、得たいの知れないなにか大きな組織の存在に押し潰されそうな威圧感を覚えた。

工場長しか知り得ぬ狭い部屋で、オカジマは一人夢中で赤いファイルをめくっていった。

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