オカジマとユリ子の母親、岡嶋静華(しずか)が死んだのは、オカジマが6才、ユリ子が3才の時だった。

病弱だった静華は、ユリ子が生まれた頃から入退院を繰り返していた。

「宗ちゃん、パパとユリ子を宜しくね」

病院のベッドに横たわる静華は、幼いオカジマの手をとって、そう繰り返した。

日に日に細くなる、真っ白な母の手を握り返し、

「僕に任せて」

とオカジマは静華に誓っていた。