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「ちょうど同じくらいの歳だな…」

「え?」

オカジマのバイクはハイジのバイクより一回り大きいが、音は格段に静かだからお互いの声がよく聞こえた。

「さっきの逆ナンちゃん?
オカっちより明らかに3つか4つ年下じゃない?」

オカジマはそれには答えず、何かを思い出すようにじっと前を走るハイジの後ろ姿を見ていた。

「失礼だよねえ。いきなり押し掛けてきて。
オカっちもさあ、本当に覚えてないの?
浮気とか姫芽まじ有り得ないから。」

お前いつから俺の彼女になったんだよ。

オカジマは言葉が喉まで出かかったが、ミラー越しの姫芽の不機嫌な顔を見て言葉をのんだ。

「酔ってナンパしたの覚えてないとかじゃないでしょうね?」

「違げえよ。
俺が酒強いの知ってるだろ。
本当に知らねえ子だよ」

信号でバイクが停まると、オカジマは姫芽から離れるようにハイジに向かって叫んだ。

「おいハイジ、どこ行くんだよ」

「あ、あ、あそだよ!
トトトトンネル。
に、二丁目の交差点ここ越えて、あ、あの、ラーメン屋さんの先の…」

「旧道のトンネルのことか。」

オカジマの顔がわずかにひきつった。

あの日のトンネルでの出来事は、今でもオカジマの体に生々しく感覚が残っている。

あのトンネルで、こんな朝っぱらから何があったってゆうのか…

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