持ってきた花を花瓶に活けて、レンの顔を覗き込む。 もちろん、話しかけても何の反応もない。 しばらくすると、ノックの音とともに悟くんが入って来た。 「レンさんの様子はどうですか?」 「変わりないよ。 話しかけても何の反応もしてくれない。」 「そうですか。 あっ、そうだ。 さっきレンさんの車、マンションの駐車場に戻しておきました。」 そう言って、悟くんは車の鍵をあたしに渡してくれた。 「ありがとう。」 だけどこの鍵だって、今のままではいつまた使う日が来るのかわからない。