今年は残暑も厳しくなく、秋が静かにやってきた。


あの日、公園に辿り着いたところまでは記憶にあるのに、どうやって自分のアパートに帰ったかは思い出せない。


そして、一週間が経ったけれど、レンからの音沙汰はなかった。


もしかしたら、あんな場面を目撃されて、あたしにはもう会いに来てくれないのかもしれない。


あたしも今は、正直どんな顔で会えばいいのかわからなくて、何の連絡もない方が良かった。


けれど、心の中はモヤモヤしていて、あたしはそれを吹っ切るように一生懸命仕事に集中していた。