「今日はこんなとこまで連れて来て悪かったな。」
「ううん。
こういうのどかな感じが好きだよ。」
「そっか。」
ここは、あたし達が住んでる街とは違って、星が綺麗に見えるし虫の鳴き声も聞こえてくる。
そんなゆったりとした時間が流れていて、心が洗われるような気がした。
「さっき母さんに会って気付いたと思うけど、母さんは心の病気なんだ。」
レンは静かに話を始めた。
「俺の親父はろくな父親じゃなかった。
何回も警察に捕まったりしてるような奴だったんだ。
酒癖も女癖も悪かったしな。」
レンがこんな風に家族の話をするのは初めてだった。

