軽く会釈をすると、お母さんはあたしにまで優しい微笑みを向けてくれた。 「ちょっと散歩でも行く?」 「そうね。行きましょう。」 レンはお母さんの車椅子を押して、あたしは少し後ろをついて行く。 外に出ると、海が近いからなのか涼しいそよ風が吹いていた。 二人が何を話しているのかわからなかったけど、何となくレンの背中が嬉しそうに見えた。 あたし達が住んでいる街から車で4時間ぐらいかかるこの場所は、レンもきっとたまにしか来れないのだろう。 久しぶりに会うお母さんとの時間が、嬉しいんだと思う。