「そっか。」
「落ち着いたら顔出す。」
「うん。気をつけてね。」
パタンとドアが閉まり、レンのつけている香水の香りだけが残る。
それから一週間、レンからは何の音沙汰もなかった。
和香ちゃんも、悟くんからメールの返事が来ないと嘆いていた。
レンの事だからひょっこり現れるんだろうけど、どうしているのか気になって仕方がない。
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様。」
仕事が終わり、和香ちゃんと一緒にお店を出ると、少し離れたところにレンの車が停まっていた。
あたし達に気付いたのか、助手席から悟くんが降りてきてこっちに歩いて来る。

