「ええっ!? ちょっとっ……もうっ」

 突然の事にマリは声が裏返る。組織に潜入して彼を間近で見てきたけど、いつもふざけた態度で軽いノリだった。

 そして今は、いきなり敵の中に突っ込んで……

『予測しきれない』なんてもんじゃない。

 しかし、彼の動きに、マリは目を奪われた。鮮やかなナイフさばき、流れるような動き、輝く瞳が獲物を逃がさない。

 身震いするほど美しい……

「ハッ援護しなきゃ」

 思ったが、すでに終わっていた。

「どうするね?」

 残った男に、ベリルはナイフをちらつかせた。あんなものを見せられた後に、戦意などあるはずもない。