「さすがに陽が高いと動けんな」

 ベリルは、山の中でじっと動けずにいた。相手はまだ諦めない。いっそ、破壊してしまった方が良かったか? 危険な思考が過ぎる。

 そもそも彼が『公然の秘密』扱いなのは、ミカに説明した通りの理由だからで、掴まえて研究しても無駄だと皆が諦めたからだ。

 それを、今更どうしようというのだろう。ベリルは、腹立ち紛れに舌打ちした。

“キメラ”になりたくてなった訳でも、不老不死になりたくてなった訳でもない。

「静かな人生。いいねぇ」

 目を据わらせて、冗談交じりに笑った。