瞳に映るエメラルド

「でも、いいの? そんな事バラしちゃって」
「今回は特別」

 と言って右手の人差し指を口に当て、多用無言だと示しウインクした。

「あは」

 ミカは思わずそれに笑いをこぼす。そしてお菓子を食べているベリルを見つめた。

「……」

 そう考えると、彼はとんでもない人生を送ってるって事だ。彼の言動から、それをうかがい知る事は1ミリも出来ないのだけど。

 食べ終えたベリルは人差し指をペロリと舐めてミカを一瞥し、クスッと笑った。

「私の事を知っている者は、いつもそういう顔をするよ」

「え?」

「どうして、暗くないのか不思議らしい」

 確かに不思議……

「そうだなぁ、聞いて暗くなったのは一瞬だ」