雨空と薔薇


笑美の心臓は

音を立てて

縮まった。
 
幼い頃から

受けた傷のせいで、

彼女の言葉や

存在はそれだけで

笑美の身を縮める。
 

バクバクと

苦しいくらい

波打っている

心臓。

凍りつこうとする

体。
 
笑美は必死で、

自分の体に

動きを与えた。

 
薔薇の陰から

サバイバルナイフを

取り出した。
 
今日の日のために

買ったものの中で、

一番高価だったもの。
 

笑美はそれを

しっかりと

握り締めた。