スーツが 恐ろしく 似合わなかったのは、 サイズが あってなかったせいなのだ。 しかし、 特殊といえば 特殊なこのサイズは、 値段が懐にとっても痛い ものだった。 笑美は雨の中 ゆっくりと歩いて ホテルの中へ 入った。 結婚式を 終えた姉が 明日の新婚旅行を 前に宿泊する 予定のホテルだった。 不審げに笑美を見た フロントのお兄さんに、 笑美はニッコリと 微笑んだ。 笑美の手元には 真紅の薔薇だけで 出来た花束が もたれてある。 お兄さんも、 ニッコリと 微笑み返してくれた。