雨空と薔薇


笑美は体重を

預けるようにナイフを

彼女の身体に

突き刺した。
 

二十九年分の

想いを力にして、

ナイフをひねった。
 

こうして体に

空気を入れてやると

相手は声も立てずに

死んでくれる。

 
その、通りだった。
 
彼女の

見開かれた目は、

笑美を

驚きの表情で

見たまま、

固まった。



血の復讐。
 

体中の血が

始めて生きている

喜びを感じて

沸き立った。