そして今、私は隆志に夕飯を作る約束をしていたので、会社を少し早めに終わらせ家へ帰ってきた。


夕飯の材料は昨日のうちに買ってある。

隆志も今日は早めに帰ってくると言っていた。

私はアパートに付き1人階段を上る。


するとそこには、見た事のある後姿・・・痩せているのにがっちりとした肩。

私を何度も触れたごつごつした大きな手・・・私が逢いたかった背中がそこにはあった。



「リョウ?どうしたの?!」



その言葉に、リョウは私の方を振り向く。

部屋に入らず、わざわざ玄関の外で待っているリョウが私は不思議だった。



「花音!」

「ん?」



リョウは私の両手を握る。

えっ・・・?



「決まったんだ!」



えっ?何を?私は何回も瞬きをし、リョウを見つめ、首を傾げる。



「カメラマンの弟子になる事が出来たんだ!」

「えっ?」

「それも、篠塚満の下で働けるんだ!」