「隆志・・・。」

「何?急ぐんだけど。」

「ごめんなさい。」

「何に対して謝っているんだ?」



隆志の声はまだ朝の寒さのように冷たかった。



「田中さんとは・・・別に何もないの。」

「はぁ・・・。あれだけの熱いキスをしておいてか?」

「熱いキスなんてしてない!」

「じゃあ、昨日のは何だったんだ!俺の見間違いか!」

「そうじゃないっ!そうじゃないけど・・・。」

「どうせ、キスくらい涼太ともやってるんだろう?いや、もしかしてそれ以上か?」

「ひどい!リョウとは・・・。」



キスはした・・・。否定は出来ない。



「ほら、やっぱりな。」



隆志は呆れた顔をして鼻でフッと笑う。

そんな隆志を見て、私も思わず言い返す。



「キスはしたけど、あなたも私にキスしてきたじゃない!」

「それは、俺がお前を好きだからだ!」



隆志はいつにない大きな声を出し、私を思いっきり睨んだ。