電車に乗ると自然に手は離れた。


「はぁはぁはぁ。」


私の息はなかなか整わない。


「大丈夫か?」

「うん・・・。」


あぁ、運動不足がこんなところで出るなんて。


「座れないな。」

「うん、もう、大丈夫だから。」


すると、つり革を握っていた私の手を覆うように、隆志の手が私の手に重なってきた。

えっ・・・?

隆志・・・持つ所が無いって言う訳ではないよね?

隣のつり革も空いてるし・・・。


てか、真後ろに隆志がいる。

揺れる度に私の背中に触れる隆志の胸。


「隆志?」

「ん?」


私の顔を後ろから覗き込む。

うわっ、近い近いっ!