結局、放課後になっても花子さんは姿をあらわさなかった。
僕達はいつも学校帰りに寄り道をするファーストフード店で夜を待った。
「花子さん来ないつもりかな。」
僕はモヤモヤした気持ちを1人で抱えていられないでいた。
「来るだろ。今までだって最後はあらわれて・・・」遠藤が言葉を切って、それを淳が引き継ぐ。
「俺達を助けてくれた。」
「そうだね。」
僕は2人の気持ちが分かってちょっと安心した。
もしかしたら花子さんは、本当にあらわれないかもしれない。
でもそれは何か事情があって、あらわれる事が出来ないって事だよね?
「今は花子さんがいなくても出来る事を考えよう。」
淳は狭いテーブルの上に隠すようにお守りと浄めの塩が入った巾着とお札を置いた。
「浄めの塩は霊の力を弱らせて、お札は動きを封じる。」
以前、体育館の霊に襲われた時に浄めの塩とお札は試したんだ。
実際は霊の数が多くてどうにもならなかったんだけど。
「まずお札を貼って動きを封じてから、浄めの塩で霊の力を弱めればいいのかな?」
僕はお札と浄めの塩が入った巾着を手に取って見比べた。
「臨機応変だろうけど、浄めの塩で弱らせるのが先じゃないか?」
遠藤は僕の手から浄めの塩を取って、大切な物を握りしめるように掌に包んだ。
「それからどうやって霊を徐霊するの?」
僕はまるで答えてもらえる事が当たり前のように淳を見た。
「うーん。一応、陰陽道とかお経なんかも調べてみたんだけど効くのかな~?」
「・・・。」
そうだった。
淳は実家が神社で、売り物のお守りやお札を適当に持ってきたって言ってたっけ。
今度は陰陽道・・・