朝から3人で花子さんを探してるけど、何処にも見当たらない。
音楽室にも屋上にも教室や階段の陰や渡り廊下にもいない。
もしかしたら直ぐそばにいて、姿を隠してる?
そんな事が出来るのかな?
もしかして花子さんが昨日の事を怒ってて、僕達の前に姿をあらわしたくないのかな。
正直、花子さんがいれば心強いんだけど仕方ない。

以前貰ったお守りに、淳が用意してくれた浄めの塩とお札を制服に忍ばせて準備完了。

昼休みの屋上で僕達は今日の作戦を練る事にした。
勿論、花子さんが姿をあらわしてくれる事も期待して。
「どうやってあの霊を誘(おび)き出すの?」
僕は花子さんを探して辺りをキョロキョロ見渡していた。
「俺達が行けば、バケモノも出て来るんじゃないか?」
遠藤はアスファルトに寝そべって目を閉じている。
「まあ、避けられてないなら遭遇するだろうね。」
淳も遠藤も紫陽花階段の霊が出てくるって確信してるみたいだ。
「暗くなってから行けばいいって事?」
確かに前回は薄暗くなってから、あの不気味な四つん這いの霊に出くわした。
「今まであの霊が、あんなにはっきり化けて出た事ってなかったよな。」
淳は僕に分かるように説明してくれた。
「あったら紫陽花階段の幽霊話しが噂になってる筈だよね。」
僕は同意して頷いた。
「霊感も関係あるんだろうけど、多分俺達に助けを求めてるんじゃないか?」
「助け?」
生徒を何人も階段から突き落としてきた霊が?
僕は予想もしていなかった言葉に間の抜けた顔で答えた。
「やっぱり怖かったし、俺もあんな不気味なモノは見た事ないと今も思ってる。」
遠藤は寝たままで僕達に背を向けた。
それでも淳の言葉に耳を傾けてるのが分かる。