僕達は屋上に集まって情報交換する事にした。
「でもそうすると、容疑者はその教師だけじゃないって事だよな。」
遠藤は胡座(あぐら)をかきながら頬杖して、考えを巡らしている。

「確かに。マニアやストーカーに狙われていたなら、教師よりそっちの方が怪しいかもな。」
淳も考え込んでいた。
「でも学校に棲む霊に聞いたんだけど、女生徒の死体が転がっていた殺人現場近くを男性教師がウロウロしてたって。犯人はそいつでしょ。」
花子さんの話しに僕達はいっせいに彼女に視線を向けた。
「何でそれを先に言わないんだ。」
遠藤は声をあらげた。
「まだ話しが途中だったのよ。」
遠藤と花子さんの間に怪しい空気が流れ始めた。
「じゃあ、その先生の居所を調べて彼女に会わせたらどうかな?」
僕も二人に流れる危険な空気を感じて話しに参加した。
「でもあんなモノが、その教師を狙ってるなら間違いなく殺されるだろ。」

遠藤の言う事はもっともだと思う。
「お札と浄めの塩でどうにかなればいいけど。」
淳は僕と遠藤に新しいお札と浄めの塩を用意しておいてくれた。
ちなみに淳の家は神社で、お札の他にもお守りがあって、どちらも売り物らしい。
勿論、貰ったお守りは肌身離さず持っている。
「私が近付けば彼女の気持ちが分かるかもしれない。そうしたらその教師の姿になって、彼女の望みを叶えれば。」
花子さんは霊達の気持ちを汲み取って、望みの姿になれるんだ。
「でもあのバケモノが教師を殺す事を望んでいたら?」
遠藤は身震いして言った。
多分、あの姿を思い出しているんだ。
「バケモノなんて言わないで。」
花子さんが、いきなり声をあらげた。
「お前は見てないから、そんな風に言えるんだ。」
遠藤も臨戦態勢に入っている。