「大丈夫?」
僕は女生徒を助け起こした。
「骨とか平気?頭は強く打ってない?」
「あっ、足がちょっと」
女生徒は立つのにも右足を引きづっていた。
「一諸に学校に戻る?ここに先生呼んで来ようか?」
「いや、おいていかないで。」
女生徒は小さく震えていた。
そりゃ、そうだよね。
こんな恐ろしい目にあったばかりなんだから。
僕はその場に腰を落とした。
「嫌じゃなければ上までおぶって行くよ。」
僕は後ろ手に手を伸ばしておんぶするように促した。
「ありがとう。」
女生徒はすんなりおぶさってきた。
予想外の軽さに驚いた。
これなら普通に階段も上れそうだ。
「よーく掴まっててね。」
「はい。」
うわっ、その返事可愛い。
僕はこんな時に何を考えてるんだ。
階段を一段一段上って行くとさすがに疲れてくる。
普段より階段が長く感じられて、周りの緑も絡み付くように深く濃い。
風が生温くて気持ちが悪い。
そう思った時に遠藤と淳の姿が見えてきた。
「はあ~やっと着いた。僕って体力ないな~。おーい。」
あと数段で2人のいる最段階というところで2人が同時に振り返る。
「えっ?」
2人が振り返った時の恐怖の色を僕は一生忘れないだろう。