体育館の前まで来て異変に気が付いた。
やっぱりこの体育館はおかしい。
夜なんだけど夜の暗闇とは別の念みたいな粘つく闇に包まれてるんだ。
「裏に回ろう。体育館の倉庫の鍵、内から開けといたんだ。」
淳は得意げに笑った。
バーンッ
僕達が裏に回ろうとしたその時、目の前のドアが突風にこじ開けられたみたいに内から外に開かれた。
「これは出迎えかな?」
ハハッと淳が空笑いした。
僕は体育館の中にいる何かに嫌な予感がして、花子さんを振り返った。
「んむっ」
僕は息を飲み込みながら声をだしたから奇妙な音を発声しただけだった。
でもそれに気付いて二人が振り向いてくれた。
「花子さん、今の突風で飛ばされちゃったかも。」
僕は情けない声でうったえた。
「嘘だろ。」
遠藤がチッと舌打ちした。
「彼女が何処に飛ばされたかなんて分からない。でも行くしかない。」
淳は自分達で解決しようって言ってるんだ。
「淳君のくれたお守りだってある。」
僕はポケットからお札と巾着を取り出して左右の手に握った。
「よし行こう。」
遠藤も淳も同じようにお札と巾着を取り出して左右の手に握って歩きだした。