昼休みとは言っても中学の休み時間は短い。
僕達は授業終了のチャイムが鳴ったと同時に駆け出した。
「花子さーん。」
屋上のドアを開けると同時に花子さんを探した。
「早かったわね。」
花子さんはまるで空から舞降りてきたみたいに、両手を広げてつま先を揃えて僕達の前に降り立った。
「さっきのは、どういう意味?」。
「幽霊のしわざかどうかなんて分からないけど、毎年夏になると体育館で怪我をする生徒が増えるのよ。」
花子さんは過去の記憶を思い出しながら話してるみたいだ。
「毎年毎年同じ月に怪我人が出てるのに、学校は無視かよ。」
遠藤が片足でフェンスを蹴飛ばした。
「それもちょっと違うの。」
花子さんの歯切れが悪い。
「何?俺達には言いにくい事?」
淳はピンときて、花子さんに聞き返した。
「あ~多分、あなた達のせい。」
「え?」
僕達3人は揃って間抜け面(づら)になった。
「えっと、何?僕達のせいで何がどうだって?」
僕はとにかく、しどろもどろで質問を返した。
「今までは多少、夏に怪我する生徒が多くても、夏に活発になる部活や大会のせいだと思ってたんでしょうね。私も少し多いなって思う程度だったし。」
「よく分からないな。それが俺達と関係あんのか?」
遠藤にしては自分を抑えて静かに聞き返した。