「あの時、あの人に何があったのか分かったの。万里花ちゃんの事故も本当はいじめっ子が面白半分で階段から突き落としたのよ。」
花子さんは宙に浮いた状態で膝を抱えた。
「娘のふりをしてやったんだな。」
遠藤は触れられない花子さんの手に、そっと手を置いた。
僕も淳もその上から手を重ねた。
「ありがとう。それにあの人に私が見えたのも、あなた達がいてくれたおかげだわ。」
花子さんは可愛い顔で、にっこり笑った。
「俺達のおかげ?」
僕達は3人とも、あの時は何も出来なかった自覚がある。
3人でお互いの顔を見回してから、答を求めて花子さんを見つめた。
「あなた達3人とも霊感が強いのね。これからもよろしくね。」
そう言って笑った花子さんの笑顔は、ちょっと意地悪でいらずらっ子の顔をしていた。
「勘弁してくれ~。」
僕達3人はそこから逃げ出した。

空は青く澄み渡っている。
誰かの切ない声が聞こえたら花子さんが助けに行くかもしれない。
その時は仕方ないとうそぶきながら僕達も一諸に行くから。