「まあ、どうにかなるだろ。」
「トイレの鏡割ってるんだもん。自分が悪いって分かってる筈だよね。」
僕は内心の心配を打消すつもりで言葉にした。
「いや、悪い事やってる自覚があるから俺らに見られたら逆切れする可能性が高いんじゃないか。」
淳は腕組みして答えた。
「まあ、悩むのは後にしようぜ。俺達はガキだけど3人いるんだ。」
遠藤が元来た廊下を歩き出した。
「僕も3人だったらどんな事にも立ち向かえるよ。」「それはいいけど、お前達何処に行くつもりなの?」
淳に冷静に言われて僕達は足を止めた。
「そう言えば、僕達これから何処に行くの?」
「そりゃぁ・・・トイレだ。トイレで張り込めば、その内に犯人が鏡を割りに来る筈だ。」
遠藤が意気込んで答えた。
「何階のトイレ?まだ半分以上の鏡は割られてないぞ。」
「大丈夫。あの人がやってきたわ。2階のトイレに向かってるみたい。」
花子さんは何かを思い出すように目をつぶりながら話し始めた。
「分かるのか?」
遠藤はゴクリとのどをならしながら聞いた。
「そう何となく感じるの。あの人の悲しみが私の心に流れ込んでくる。」
花子さんはふわっと宙に浮いて階段に向かって進んでいった。
「よし、行くぞ。」
花子さんの後に遠藤が続き、それを追うように僕と淳が足早について行った。