プレシャス・ムーン

 ミカが呆然としていると、その青年は痛みでのたうち回る男に薄笑いでしゃがみこみ、左手の人差し指を立てて違和感の無い日本語で言い聞かせるように口を開いた。

「ガイジンとは失礼な。外国人だ」

 本人はそれ処ではないようだが……

「てっ、てめぇ!」

 また1人、金髪の彼に飛びかかる。

 殴りかかる腕をさらりとかわし、ミカの横に滑り込むように後ずさりし体勢を立て直す。その整った横顔にミカは見惚れた。

「思ったのだが……もしかしてお前たち。この人数で彼女を暴行しようとしていた訳かね?」