プレシャス・ムーン

「!?」

 男の腕が伸びる。掴まれる!? そう思った瞬間、閃光が目の前に走ったかと思うと、それは男の腕に──

「ぎゃっ」

 それはナイフだった。

 深々と刺さっている。痛みで男は地面に転がった。

「うるさいぞ」

 ナイフが投げられた先の木の影から聞こえた声。

 現れた人影に、ミカは呆然と立ちつくした。

「あ……」

 現れたのは、夢のような出会いをした金色の髪の人。