プレシャス・ムーン

 月明かりに照らされたその整った顔をミカは見つめた。

 エメラルドの瞳に息を呑む。

 そんな私に、何も言わずにその人はスカーフを渡してくれた。

 名前も聞き忘れるほど、ミカはその青年に釘付けになった。

 そんな事を考えながらふらふらと公園に足を踏み入れる。

「……」

 あの人が今日もいるとは限らないのに……思って、公園の中心辺りで足を止めた。

「何考えてるんだろ私」

 溜息をついて戻ろうとした時──

「おや~? こんな処にかわいこちゃん」
「へえ~ホント可愛いね」
「俺たちと遊ばない?」